雲海テラスの歴史

「お客様にも、この眺めを見せたいなぁ」

2005年初夏のある朝、スキー場の山頂付近でゴンドラのメンテナンスにあたっていると眼下に雲海が広がっていた。

大好きな光景であったが、地元で生まれ育ったスタッフにとってそれは「見慣れたいつもの風景」でもあった。
だから普段ならちらりと見ればそれで終わり。
だが、この日は頭の中をお客様が喜ぶ姿がよぎった。

「お客様にも、この眺めをぜひ見せたいなぁ。ここでおいしいコーヒーを飲んでくつろいでほしいなぁ。」
何気ない一言だった。

雲海は山麓から見ると、頭上に雲がかかっているようにしか見えない。
雲よりも上に登らなければ、雲海の美しさは分からない。

曇り空を見たお客様が本当に頂上まで来てくれるのかという声もあったが、ほとんどのスタッフはこのアイデアに賛同した。

この日から早速「雲海を見ながらコーヒーを飲んでもらう」ためのプランを話し始めた。やがて「ゴンドラの山頂駅付近に早朝営業のカフェを作ろう」と話が膨らんだ。不慣れな接客や早朝の準備といった課題を解決するため、話し合いは約2ヶ月におよんだ。

雲海テラスの誕生

こうして2005年夏、雲海テラスの前身となる早朝カフェのテスト営業を始めた。

カフェといっても、小さな広場にテーブルとイスを並べただけの簡易的なものだった。
普段はゴンドラのメンテナンスを担当している7人のスタッフは、慣れないウェイター姿で「こんな早朝に、お客様はわざわざ来てくれるのだろうか」とドキドキしていた。

だが、そんな心配をよそにお客様は続々とやってきた。
お客様を見るたびに、7人は飛び上がりたいぐらいうれしくなった。

初日は雲海が見られなかったが、お客様は早朝の清々しい空気の中、トマムの雄大な風景を堪能していた。
サービスに不慣れでミスも出たが、それでもお客様の満足そうな笑顔が目立った。それが何よりもうれしかった。

2ヶ月の期間中には約900人が訪れ、テスト営業は大成功を収めた。

この結果を受けて、お客様から集まった声を取り入れながら、テラスを建設するなどの本格的な展開が決まった。
翌2006年「雲海テラス」として正式にサービスをはじめた。

雲海が発生しやすい春から秋限定のサービスとして人気を呼び、2007年には約1万7,000人が来場する大ヒット企画となった。

雲海予報

自分たちで作り上げたサービスの魅力に気付いた7人は、星野リゾート トマムにふさわしいサービスとは何かを考え続けた。 そして、雲海テラスにさまざまな工夫を凝らしてきた。

「雲海予報」もその一つだ。

雲海は、必ず毎日見られるわけではない。
気温や湿度、風向や風速といった気象情報に、「ある方角に午後から雲が出ると、翌朝は冷え込む。するとトマムに雲海が出やすい」といった経験則を組み合わせて、雲海が発生する確率を予報する「雲海予報」を独自に作った。
シーズン中、雲海が発生する確率は約4割ほどだ。

社内からは「できるかできないか分からないサービスの確率を出すなんておかしい」という声も上がったが、実際に始めると、お客様は雲海予報を楽しみ、クレームはまったく出なかった。

ほかの部門と連携して、毎朝、雲海の様子やゴンドラの運行状況を客室のテレビやホームページで案内する体制も作った。

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