• location:HoshinoResorts Tomamu
  • photo:Miho Furuse
  • text:Lisa Obinata
Vol.2

2日目の朝、みんなよりも一歩早く準備を終えた大輔父さん。山岳ガイドとして国内外の雪山を駆け巡る大輔さんは、シーズン中は分刻みのスケジュールで動くほど多忙を極めています。そんななか「全行程は参加できないけれど家族と滑れるのなら!」とこの取材を引き受けていただきました。撮影2日目の午後には、大輔さんだけ移動しなければならず、この日は貴重な家族5人でのスキーの日。

けれども子供3人連れての滑走は、子供たちが主役。大輔さん、陽子さんは現役のプレイヤーでもあるから、家族旅行中も工夫して、1本でも自分の滑走をする時間を作るのです。子供だけではない、家族全員が思い切り楽しむこと! 佐々木家が大切にしていることです。

子供たちのスキーの準備は時間がかかるもの。それぞれの着替えにスキー道具、お母さんはザックに、おやつや水筒、予備の手袋などを詰め込みます。その間に大輔さんはひとりトマムマウンテンに移動し、ゴンドラ始発乗車。2月だというのに高温が続き、何日も降雪がなかったのだけれども、上に上がればコンディション上々! 北海道ならではの雪質です。大きなザックを背負わずに圧雪斜面を滑る佐々木大輔のスキー写真はちょっとレアかもしれません。

ゴンドラ1本で、2000m以上のロングクルージング。最高に気持ちのいいグルーミングバーンをまだまだ滑りたいところだけれど、1本限定の充足感を噛み締めて、家族の待つホテル、リゾナーレへ戻ります。

トマムのホテルは「リゾナーレ」も「ザ・タワー」も、ゲレンデの目の前。小さな子供連れだと、リフト乗り場まで距離があったり、少し登りだったりするのが意外と大変だけれども、リゾナーレは出たらすぐコース、タワーは出たらすぐリフト乗り場なのです。

ゴンドラ方面への行き来も、数年前にコースとリフトの改良がなされてとってもスムーズになったよ!

佐々木家の子供たちはスキーが大好き。長女のアカリは小学校のスキー授業や普段も友達と滑っているので、上級コースでも問題なしという足前。次女のアオイも3シーズン目のスキーで、ボーゲンでどこでもついていきます。2歳のリョウはこの年にスキーを始めたばかり。お母さんはスノーボードなので、リョウの足元に補助ベルトをつけて後ろからサポートするのはお父さんの役割です。

ふたつのホテルが立つタワーマウンテンは、緩やかなコースが多く、初心者やキッズにもぴったり。しばらくタワーマウンテンで楽しむことにします。アカリとアオイはどこでもスイスイ、そんなお姉ちゃんたちを見ているリョウも、全く怖がることなくどんどん進みたがります。とはいえ、まだ2歳児。転び方もスピードコントロールも習得していないので、大輔お父さんが後ろから絶妙なコントロールをします。

ところが、スピードが出すぎたときに補助ベルトで抑えようとすると、ムッとしてしまうリョウ。しまいには、「紐、いらない! お父ちゃん、嫌!!」とまで言われてしまった、かわいそうなお父さん(笑)。紐作戦がなかなかうまくいかないので、途中からはお父さんの股の間にリョウを入れて滑る作戦に変更。お父さんのスピード感、障害物があればジャンプで宙に浮かせてくれる面白さに今度はニッコニコです。

リョウは紐を嫌がるけれど、これは足首につける補助ベルトで開けばボーゲン、左右ターンを後ろから誘導してあげることもできる優れものなんですよ

「ニポタウン」の前でリフトに乗ろうとすると、森の妖精ニポがスキーを履いて登場! ニポと一緒に滑れるなんて子供たちも大喜びです。アカリはトマムに来たら楽しみにしていたことがありました。それはニポとチョッカリ大魔神のいる「アドベンチャーマウンテン」のスタンプを集めること。タワーマウンテンには「ニポの山」、ゴンドラのあるトマムマウンテンには「チョッカリ山」があり、その中に点在しているアイテムをクリアしたらスタンプを押すことができるのです。スタンプを探したり、アイテムをクリアしていくうちに自然とスキーも上達してしまうという素晴らしい仕掛け。

たくさん滑って疲れてきたアオイとリョウを、休憩も兼ねて託児室に預けることにしました。託児室にはゲレンデが一望できる大きな窓があり、広々とした空間に遊び道具がいっぱい。

お父さん、お母さん、アカリの3人ならば、滑走スピードは同レベル。ゴンドラに乗って上級者コースをかっ飛ばし、新雪に入ったり、ツリーランをしたり、ポールをくぐり抜けたり、パークで飛んでみたり。ゲレンデを縦横無尽に楽しむお父さんの後ろをぴったりつけるアカリ、男前な力強いターンを切り込んでゆくお母さん。こんなにかっこいい親子は見たことありません。

大輔お父さんだけでなく、陽子お母さんもアカリと長い時間一緒に滑るのは久しぶりでした。どうしても下の2人の面倒を見ることが多くなり、長女は家族よりも友達と滑ることの方が多くなっていたので、アカリの成長っぷりにお母さんは喜びを隠せません。アカリもこの時ばかりは大好きなお父さんとお母さんを独り占めして、スキーを褒められて、とっても嬉しそう。託児所に下の2人を預けるという作戦は、両親だけでなく、アカリにとっても特別な時間となりました。

託児室でたっぷり遊んだアオイとリョウを迎えに行って、ゲレンデ内のレストランでランチ。ホテルに戻る前に、ホタルストリートに立ち寄ります。ホタルストリートは2017年にオープンした施設で、スキーやスノーボードを履いたままアクセスできる日本初のスキーインスキーアウトヴィレッジ。9つの店舗が並び、食事やショッピングが楽しめます。海外のスノーリゾートでは、ゲレンデの麓や近辺にこのようなヴィレッジが併設されていることが多いけれど、ゲレンデの中腹に立ち並ぶという発想がユニーク。スキーやスノーボードを履いていなくてもアクセスできるので、たとえばスキーはしないけれど同行したお母さんやおばあちゃんも一緒に楽しめるというスポットです。

昼は滑って行けるし、夜はお店の前に焚き火があって暖まれるよ〜

短い滞在だったけれども大活躍した大輔お父さんを見送り、お昼寝から覚めた子供たちはまたまたパワー全開。夕食の前に、プールに行きたい!とみんなでミナミナビーチへ向かいます。ミナミナビーチは日本最大級30×80mのウェーブプールを備えたインドアビーチ。多種多様な浮き輪やボールで遊んだり、波に揺られたり、水上に張られたスラックラインに挑戦したり、大はしゃぎです。プールのあとは隣接している「木林の湯」へ。みんなで大きな露天風呂に浸かり、子供たちの身体も洗ってしまえば、寝る前に部屋で入浴させる必要もなく楽チン。

この日の夕食はビュッフェダイニング「hal」へ。蟹やサーモン、イクラなど新鮮な海鮮が食べ放題で大人気のレストランです。子供たちが喜ぶ「雲海パフェ」などオリジナルデザートも魅力的。ビュッフェは選ぶ楽しみがあるけれど、お母さんにとってはなかなか落ち着かないという難点もあります。子供たちが取るのを手伝って、食べさせて、また取りに行って、、、自分の食事をゆっくりしている暇もありません。そんな母の悩みを理解しているのがトマムの素晴らしいところ。ファミリー向けの席の前には遊具を備えたキッズスペースが用意されているのです。先に食べ終わって遊ぶ子供たちを見守りながら、大人もゆっくり食事を楽しめるというわけです。

大充実の2日目。夕食を終えたら、子供たちはすぐに眠りに落ちました。同じくお疲れのはずのお母さんは、というと、、、夜から降り出した雪に舞い上がり、明日の朝一は絶対いいよね??、どうしたら子供たちを置いて朝一に滑りに行くことができるかと、カメラマンと作戦会議をしています。滑ることには事欠かない、けれども母としての責任感も人一倍強い陽子お母さん。最終日はどんな1日になるのでしょうか。
次回へ続く。