旭川エリアの雪に魅せられた3人が語る
星野佳路×佐々木大輔×若山泰生

前編
北海道パウダーベルトという構想と山を滑るマナー(2/3)
星野
温泉の入り方もそうなんですよ。この5年くらいなんですけどね、海外のお客様は温泉の入り方を知らないから、温泉マナー動画を作ったんですよ。英語、中国語、日本語で作って、宿を予約した外国人にメールでURLを送るんです。そうするとかなり見てくれて、ガラっと変わります。守ろうとする気持ちはあるんですよ。
大輔
知らないから仕方ないですよね。
靴を脱ぐことなんかも。
星野
そうそう、でもどこかで聞いていて、まだ脱がなくてもいい場所でモジモジしている外国人とかね(笑)
大輔
山の滑り方動画も作ってください(笑)
星野
伝えるって大事ですね。雪山マナー動画、いいですね!

夏はニュージーランドに長期滞在をし、海外のスノーリゾートの研究とスキーの足前を磨く星野佳路。新雪用のファットスキーも乗りこなす。

大輔
駐車場のことも大きな課題ですね。例えば富良野岳では、最近平日でも50人くらい上がります。そうなると、車を停めるところがないんです。
若山
9割は外国人ですね。
大輔
他の山でも路上駐車が問題になっていたりします。
星野
ポテンシャルがある山というのは国有林なんですか?
大輔
大体はそうですね。でも地元の人が管理しているところで、山入ってもいいけど一応声かけてください、とか、車を道路脇に停めると除雪に困るから路駐はしないで僕の土地使ってくださいとか理解があるところもあるんです。多くは、地元の人も世界中から愛好家が来るという可能性を知らない。そこに気づいて、じゃあ、使ってもいいよって地域の人も気づいてくれたらいいですね。それで僕らも停めさせてもらった代わりにその街にお金を落とそうとするんですけど、お店も閉まってたり、コンビニもなかったりで落とすところがないんですよ。せっかくそこで遊んだから還元したいんだけど還元できる場所がない。駐車場代くらい徴収できるシステムがあるといいですけどね。
星野
駐車場はポイントなんですね。
そもそも、バックカントリーを滑る人口というのは何人くらいいるんですか?
大輔
数えたことないですね。
星野
市場規模がわからないと潜在的な経済性も理解できないので、何とか把握したいですね。
大輔
ビーコン買っている数がわかりやすいかも?
星野
1万人いますか?
大輔
感覚ではいると思います。
若山
そうですね。流行りではなく、確実に続ける愛好者で1万はいますね。
星野
2万は?
若山
それは怪しい・・
星野
年齢構成は?
大輔
40代後半から50代が多いですね。平均年齢48くらいでしょうか、僕のお客さんで考えると。アジア系の人たちも徐々に入り始めていますね。これからは中国の人たちも来ると思います。中国にはパウダースノーないですからね。

トマムから車で約20分の狩振岳CAT(雪上車)ツアーでは、ガイドとともにパウダーランを貸切で楽しめる。特製ランチ付き。

星野
北海道のバックカントリーではガイドと登ることが多いのですか?
大輔
富良野岳で言うと7割くらいガイドツアーですね。
星野
日本の山を案内する上で資格や免許がないとダメなわけではない?
外国人でも自由にガイドできるんですか?
大輔
そうですね。ただ北米やヨーロッパのお客さんというのは、自国ではガイドを頼むことも多いです。だから日本でガイド会社を経営している外国人も、自分が資格がなくてもきちんとした資格を持った人を配置していますね。
若山
日本人もガイドというものに対する考え方は変わったよね。この10年くらいで。昔は自分たちで自由に登って滑っていた人が多かったけれど、最近は一からガイドにお願いする人が増えたよね。大輔も人気だからワンシーズン中埋まっちゃてるし、予約取れないですよ。いい方向に変わったなーと思います。
大輔
一般の人もそれなりに良いところには行けるけどプロにお金を払えば、さらに良いところに行けるというのが浸透してきていますね。安全ももちろんそう。でもガイド側からすると、どんどん難しくなって来てますけどね。ライバルも多く、情報も簡単に手に入るから。
星野
そうですか。
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雪を楽しめる星野リゾートの施設