• location:Asahikawa
  • photo:Miho Furuse
  • text:Lisa Obinata
Vol.3

最終日は、子供たちがずっと楽しみにしていた『旭山動物園』へ! 大人にも人気が高く、リピーターも多い旭山動物園は、旭川を訪れたのなら是非とも足を運びたい名スポット。

OMO7旭川は、旭山動物園で出会えるぬいぐるみたちが出迎えてくれるエントランスに、新客室のシロクマルームやペンギンルームがあったり、旭山動物園行き無料送迎バス(冬期期間のみ)があったりと、動物園へ出かけるモードをグッと高めてくれるホテル。ミソラとヒュウジは、売店でゴマアザラシのマスクまでゲットして準備万端です。

ホテルから車で約30分、動物園に到着すると、ミソラはメモ帳を、ヒュウジは使い捨てカメラを片手に、記録を取りながら回ります。旭山動物園が人気を集める最大の理由は、その展示の仕方。ただ動物の姿を見せるのではなく、動物の自然な生態が見られるよう数々の工夫が施されているのが特徴的です。

北海道小動物コーナーには、エゾリスやエゾユキウサギ、テンとか北海道に生きるかわいい動物がたくさんいたよ〜

日本最北端に位置する旭山動物園は他の動物園と違って、冬だからこそ訪れたい魅力がたくさんあります。積雪期に開催される「ペンギンのお散歩」は言わずと知れた人気イベント(取材時は新型コロナにより中止)であり、アザラシやホッキョクグマなど冬に活発に動く寒冷地の動物たちの姿も見所。

地上からと、地下からと、様々な角度からホッキョクグマを観察できる「ほっきょくぐま館」では、迫力のあるクマの姿から目を離せず、家族揃ってずいぶん長いこと観察していました。地球温暖化の影響でホッキョクグマが絶滅の危機を迎えているという話も、実際に彼らの姿を見ると切実に感じられてきます。

トラの中でももっとも寒い地方に住む絶滅寸前のアムールトラに、たまたま生まれたばかりでお目見えしたゴマアザラシの赤ちゃん、真っ白い毛が美しいホッキョクギツネやシロフクロウ、頭の上を見上げるように観察できるユキヒョウ、天然記念物のオオワシなどなど、珍しい動物のオンパレード。

それぞれの動物に手書きで丁寧に記されている解説は、大人でも考えさせられるものが多く、じっくりと観察し、読んでいると、1日で全部は回りきれないのでは、というくらい、あっという間に時間が過ぎてゆきます。

アムールトラは自然破壊の影響で減少してしまって、野生では400頭くらいしかいないんだって

人間もひとりひとり性格が違い、それぞれの人生があるように、旭山動物園にいる動物たちもみんな、ここにやってきた背景があり、現在の営みがある。特に、ヒグマの「とん子」は、人間の安全のためにお母さんが駆除されてしまい、残された自分は動物園に保護されたという話や、交通事故で片目を失ってしまったシマフクロウの「モコ」のストーリーは、子供たちの心にも響いたようです。

ミソラは言います。
「都会は便利だけれど、人間が木を切ったり、開拓することで、動物が死んでしまったり、人間の手で殺されてしまってかわいそうだと思った。昔はもっと川も綺麗で、森もいっぱいあったんだなと知りました」

それぞれのコーナーを存分に堪能した古瀬ファミリー。特にお母さんのお気に入りは、シンリンオオカミ。群れで生息する「オオカミの森」に釘付けでした。オオカミもまた、人間との深い交流がありながらも、家畜を襲う害獣として駆除され、日本では絶滅。動物園の閉園の音楽に反応して、オオカミは遠吠えすることが多いという案内を聞いて、ギリギリまでオオカミの家族を見守る古瀬ファミリーなのでした。

朝から夕方まで、たっぷり旭山動物園で遊んで、旭川を離れる前に最後のオプション。OMOレンジャーとご当地スーパーをめぐるツアーです。数々のご近所アクティビティの中でも人気の高い本ツアー。お土産と言えば、空港やお土産屋さんで買うのが一般的だけれど、実は旭川市民が普段利用するご当地スーパーには、旭川でしか手に入らない食材や、お土産にも喜ばれる特産品が目白押しなのだとか。

2日目に街を案内してくれたOMOレンジャーが今度は“パープル”に変わり、スーパーマーケットのおすすめコーナーを案内してくれます。お土産にイチオシは乾麺!

カップ麺や袋麺の種類の多さには驚きの一言。さすが旭川ラーメンの街、レアなご当地ラーメンもたくさんあり、ついつい食べ比べしたくなってしまいます。古瀬ファミリーも、旅の思い出とお土産にと数種類お買い上げ。

最終日も盛りだくさんで旭川の旅を終えた古瀬ファミリー。自然のなかに身を置く時間を何よりも大切にしている両親の想いは、子供たちにも、広い視野を持ち、学校では学べないことを旅を通して体験してもらうこと。

春休みの旭川トリップは、都市に滞在することで、街の歴史や地域の文化を学びながら、スキーや動物園で自然の豊かさや命の尊さを実感するという、予想以上に濃い課外学習となりました。ぎっしりと埋め尽くされたミソラの取材ノートに、ヒュウジの撮った写真には、両親もびっくりするくらい、ふたりの豊かな感性が表現されていました。

子供たちには常に「本物」を見せたいと思っています。動物園もスキーも旭川の街でもそれが実現でき、良い旅ができました!