9月21日の雲海テラス 「過去最高傑作」のトマム産雲海
今朝のトマムは、15年間この地の空を見続けてきたスタッフをして「過去最高傑作かもしれない」と言わしめる、圧巻の気象ドラマに包まれました。昨日の雨がもたらした潤沢な水分、地表の完全な無風、そして風と地形が生み出した奇跡的な条件が重なり合い、文字通りシーズン最高峰の全面雲海が広がりました。
今朝の雲海を決定づけた最大の要素は、純度の高い「蒸気霧」です。前日の雨で地表がたっぷりと水分を含んだところへ冷気が滑り込み、温かい地表から猛烈な蒸発が起こることで発生したこの霧は、通常の放射霧とは比較にならないほどの高い水滴密度を誇ります。水滴が気化する際に周囲の熱を奪う気化熱のバリアに加え、上空に広がる分厚いうろこ雲が天然の遮光シェードとなり、直射日光によるドライアウトを完璧にブロックしました。日の出後も消えるどころか、むしろ刻一刻とボリュームを増していく異例の長寿命な雲海となりました。
日の出とともに陽の光が届き始めると、雲の表面に光と影の繊細な陰影が浮かび上がりました。谷底に停滞するトマム産の蒸気霧の上に、十勝北部から流入してきた別の蒸気霧の層が綺麗に重なり合うことで、見事な「2層構造」が形成されたのです。さらに時間が経つにつれて十勝側からの風と雲の押し込みが強まり、十勝産の蒸気霧がトマムの雲海の上に深く重なって、この時間になってもなお雲のボリュームを増やし続けるという圧倒的なスケール感を見せてくれました。
太平洋側と日本海側へ水流を分かつ分水嶺の稜線では、二方向からの風が収束を起こし、収束した雲が溢れ出してオダッシュ山や鞍部から絹のように滑らかに山肌を滑り落ちる「滝雲」が発生しました。太平洋と日本海の境界線を、気体となった雲が越えていくダイナミックな光景です。最大のクライマックスは、稜線から急勾配を滑り降りてきた滝雲が、谷底に溜まった濃密な雲海プールへ激しく突入した瞬間に訪れました。流体力学で言う「跳水現象」が起こり、雲の衝突エネルギーによって巨大なドーム状の「雲飛沫(スプラッシュ)」が立ち上り、周囲の雲をぐんぐんと押し上げて山々を呑み込んでいきました。
「静の雲海」と呼ばれるトマム産雲海でありながら、これほどまでに立体的に、そして力強く脈動する姿は滅多に見られるものではありません。幾重もの偶然と地形の必然が織りなした今朝の雲と風が織りなす大自然のスペクタクルは、立ち会われたゲストの皆様にとっても、私共スタッフにとっても生涯忘れられない特別な朝となりました。
明日以降の雲海発生に期待して、ここで擱筆させていただきます。
雲海テラススタッフ 藤田





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日々表情を変えるトマム山からの景色やCloud9の散策など、朝の特別な時間をぜひ雲海テラスでお過ごしください。

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