10月3日の雲海テラス 雲海のない朝の裏側で
山頂外気温3℃。一面を埋め尽くす真っ白な雲海を期待してゴンドラに乗られたお客様もいらっしゃったかもしれません。しかし、一見すると雲海が発生しなかったように見える今朝のテラスの裏側には、気象という自然の摂理が描き出す緻密で美しい物語が隠されていました。
絶景の伏線となったのは、昨日の昼に降った激しい雷雨です。地面にたっぷり蓄えられた水分が夜半の冷え込みによって冷やされ、谷底からすーっと這い上がる滑昇霧を生み出しました。同時に、雷雨が大気中のチリやホコリを削ぎ落とす大気洗浄を果たしたことで、足元に繊細な霧が漂いながらも空間全体の透明度が格段に向上。東の空の低い位置には、はるか100km以上も離れた阿寒岳の雄大なシルエットが、靄越しにくっきりと浮かび上がるという知的な大遠望をもたらしてくれたのです。
5時27分頃の日の出とともに東の地平線から太陽が顔を出すと、光の物理現象が世界を一変させます。秋は太陽の昇る角度が低いため、太陽光が大気中を長く通過し、波長の長い赤い光だけが強調されて届きます。その低い斜光線が、日高山脈にかかる雲や色づいた木々を透過し、ほんの15分ほどの間、世界全体が自ら発光しているかのような濃厚な朱色と黄金色に染まり上がりました。
日の出後も、風と熱の物理的ドラマは続きます。青空から強い朝陽が差す中で舞う霧雨は、谷底の霧が上空で冷やされて降る現象であり、光を浴びた水滴が空中で金色の粒のように輝きます。さらに南西の風に乗って鵡川下流部や西の谷から流れてくる蒸気霧は、強烈な日差しを柔らかく包み込む天然のディフューザーとして機能し、山肌に豊かな陰影と奥行きを与えてくれました。
昨日の雨、夜の冷え込み、太陽の角度、風が運ぶ蒸気霧。雲海が出ない朝の裏側には、これらすべての気象条件が寸分の狂いもなく噛み合わさった自然の摂理が存在しています。目の前の風景を形作る豊かな法則に思いを馳せつつ、明日以降の雲海発生に期待して、ここで擱筆させていただきます。
雲海テラススタッフ 藤田



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日々表情を変えるトマム山からの景色やCloud9の散策など、朝の特別な時間をぜひ雲海テラスでお過ごしください。

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