9月26日の雲海テラス 名月と秋空と雲河
山頂外気温4℃。山麓では車のフロントガラスが凍りつくほど氷点下まで冷え込み、手がかじかむほどの凛とした秋冷と静寂が包む今朝の雲海テラス。西の空には「中秋の名月」が美しく浮かんでいました。旧暦の8月15日に鑑賞する中秋の名月は、秋の澄み切った空気によって一年で最も月が鮮やかに美しく見えるとされています。時折その前をかすめるように流れる薄雲がなんとも風流な趣を醸し出すなか、やがて東の地平線が燃えるような朱色に染まり、遠く阿寒岳のくっきりとしたシルエットが浮き彫りになりました。西の柔らかな銀光と東の朝焼けが交差する、この時間ならではの幻想的なマジックアワーです。
日の出時刻を迎える頃、冷え込んだ谷底の鵡川沿いには絹のように繊細な川霧が発生し、西側から静かに流れ込んで山間を白く蛇行する一筋の「雲河(うんが)」へと姿を変えていきました。今朝は湿度が85%とやや低めだったため、太陽の光やわずかな気流のゆらぎによって消えては立ち上る「儚く動的な白」を見せていましたが、陽が高くなるにつれて雲河は少しずつその層を増し、谷底を埋める見事な雲の帯へと成長していきました。
この揺らめく雲河を優しく包み込むように、周囲の山々では黄葉が進み、季節の深まりを感じさせる重厚な色彩が広がっています。上空には朝日に照らされて輝く羊雲が広がり、遠く東大雪や日高山脈の雄大な連峰までが見渡せる全方位の秋空が描かれていました。刻一刻と表情を変え、日の出とともに消えゆく雲河の「一瞬の儚さ」と、日に日に山肌を深みのある色彩へと染め上げていく「秋の深まり」。二つの対比が織りなす情景は、まさに今朝だからこそ出合えた奇跡的な絶景です。
太陽の温もりとともに外気温が5℃に達すると、雲河はゆっくりと薄いヴェール状になりながら静かに消えていきました。雲が去ったあとには陽光に包まれた黄葉の山々とリゾートの全景が鮮やかに現れ、どこまでも澄み渡る秋晴れの大パノラマが広がりました。悠久の季節の流れと一瞬の奇跡が交差する、至高の朝となりました。
明日以降の雲海発生に期待して、ここで擱筆させていただきます。
雲海テラススタッフ 藤田




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